Time waits for no one

電車に揺られながら、ふと顔を上げれば
ひょろ長い、細長い、髪ボサボサ、メガネの男と目が合う
なんのことはない、ドアの窓に映った僕だ
ははっ、死んだ魚のような目をしているね
最近、調子はどうだい?


こんな風に自分と向き合うことが多い近頃


僕はもともと、なにががつくりたくて
“ものづくり”がしたくて
工学の方へ進んだんだよな
幼稚園の頃は将来の夢に宇宙飛行士って書いてたな
ガキの頃はプラモデルつくってよろこんでたし
電子工作でつくった回路や陳腐なロボットが動いたときはうれしかったな
テレビゲームが楽しくなって
工業高校出て、専門学校行って
ゲームプランナーかプログラマーになろうと思ってた
SF読んで
サイボーグやパワードスーツ、ブレインインターフェイスやら
実現したらどうなるかなんて夢想して
この目でそれが見れたらなって
この手でそれが創れたらなって
そんなこと考えてたんだよな


僕はいま、なにやりたいのかな
昔より先が見えなくなってきたみたい
目が悪くなったみたい
かけてるメガネは全然、度があっていないみたい
歩いてる道はいつの間にか細くなったのかな
大きな道を歩いてたつもりなのに
前を向いて歩いてたつもりなのに


僕はこれからなにができるのかな
僕にはなにがあるのかな
なにもないのかな
真っ白なのかな
それならこれから塗ったり、染めたりできるのに
まだ間に合うのかな


電車を降りて、自転車に乗って
イヤホンから聞こえてくる
あたまに響く

つかみたいもの、ほら
きっと胸の中にあふれてる